秋の蒲郡は、紅葉を「走る」季節。

秋の蒲郡は、紅葉を「走る」季節。

海と山をひとつなぎにする三河湾ドライブと、宿の味覚


海から20分で、紅葉の尾根に出る

蒲郡は「海の町」だ。三河湾に面し、沖には国の天然記念物・竹島が浮かぶ。けれど、その海辺から車を少し走らせれば、いきなり標高350mの尾根に出てしまう。海と山がこれほど近い町は、そう多くない。

秋の蒲郡は、その落差を楽しむ季節だ。朝は尾根の上で紅葉越しに海を眺め、昼は港町の路地で一杯のうどんをすする。そして夕方、西浦の海に戻って湯に沈む。この一日が、蒲郡という町の輪郭をいちばん無理なく描いてくれる。

紅葉に染まる尾根道と、眼下の三河湾 尾根伝いの道から望む三河湾。木々が色づき始めると、海の青がより深く見える / 写真:日本絶景街道を走る!


1. 三ヶ根山スカイライン ― 5.1kmの「あじさいライン」は、秋も美しい

西尾市東幡豆町から蒲郡市金平町へ抜ける全長5.1kmの有料道路。早春に約7万球のスイセン、初夏に約7万本のアジサイが沿道を埋めることから「あじさいライン」の名で親しまれている Aichi Now(愛知県観光サイト)。

だが、この道の本領は花の季節だけではない。料金所を過ぎた直後から急勾配とヘアピンが続き、勾配が落ち着く頃には標高350mの尾根区間に入る。ヘアピンが消え、木々の間から海がのぞき始めるあたりが、この道のいちばん気持ちのいい区間だ。沿道には紅葉も所々に残り、秋は「走りながら景色が変わる」道になる 日本絶景街道を走る!。

紅葉に包まれた三ヶ根山の山並み 尾根に差しかかると、視界が一気に開ける / 写真:日本絶景街道を走る!

展望台は2カ所。第一見晴台からの眺めが良い。蒲郡市街から竹島、渥美半島、太平洋まで見渡せ、空気の澄んだ日には伊良湖岬から鳥羽、名古屋市街まで届く Aichi Now。

そして、この道の秋のもうひとつの顔がイルミネーションだ。11月中旬から3月中旬にかけて、三ヶ根山山頂駐車場周辺が幻想的な光に包まれる Aichi Now。紅葉が終わった山が、今度は光で色づく。日が短くなった11月の夕方、明るいうちに尾根を走って、暗くなってから山頂で光を眺める。それが、この道のいちばん贅沢な使い方だと思う。

三ヶ根山スカイライン 基本情報(Aichi Now)

  • 区間:西尾市東幡豆町入会山 → 蒲郡市金平町(5.1km)
  • 料金:普通車・軽自動車420円/二輪280円/マイクロバス1,100円/大型バス1,760円(※最新料金は愛知県道路公社でご確認ください)
  • 通行時間:8:00〜20:00(20:00〜翌8:00は通行禁止)
  • アクセス:音羽蒲郡ICから約40分/名鉄「東幡豆」駅下車、タクシー約15分

2. 三河湾スカイライン ― 無料で16.3km、紅葉は五井山周辺で

幸田町から蒲郡市へ至る全長16.3kmの観光道路。2006年に無料開放され、かつての遠望峰・桑谷・山綱の各駐車場は閉鎖されたが、尾根伝いに走りながら所々で三河湾の絶景に出会える道として、今もドライブの人気を集めている 愛知県 観光(mytabi)。

秋は、五井山周辺の紅葉が見事。ハイキングにも適したエリアで、車を降りて歩く人の姿も多い 愛知県 観光(mytabi)。三ヶ根山スカイラインとは幸田町側で10〜15分ほどしか離れていないので、2本をつなげて走るのが定番だ 日本絶景街道を走る!。

西尾の山里に降りる紅葉 西尾市観光協会が紹介する紅葉。三ヶ根山スカイラインの西尾側とあわせて立ち寄りたい / 写真:西尾観光


3. 寄り道 ― 三谷弘法山の大師像と、イロハモミジ

ドライブの途中で、ぜひ寄ってほしい場所がある。蒲郡市三谷町、標高100mの丘に立つ子安弘法大師像だ。像高18.7m、台座を含めると30m。蒲郡のランドマークのひとつで、像のすぐそばまで車で行けるため、高齢の方にも人気がある 花のみごろ.com。

うれしいのは、像の周辺にイロハモミジの若木が寄贈者を募って植栽されていること。若木は年々育ち、11月下旬には大師像の背後や足元が赤く染まる。遠く名古屋や浜松からも参拝者が訪れる紅葉の名所になっている 花のみごろ.com。

入場無料、駐車場も無料。大師が抱く赤ん坊が、半分顔を隠すように抱かれているのも見どころだ。

紅葉に囲まれた子安弘法大師像 イロハモミジが色づく大師像周辺。11月下旬が撮影時期の目安 / 写真:花のみごろ.com

  • 住所:愛知県蒲郡市三谷町南山14(高野山真言宗 三河高野山 金剛寺)
  • 電話:0533-69-7379
  • 駐車場・入場とも無料

4. 海辺に戻る ― 竹島と、ツワブキの黄色

尾根を下りたら、海の時間。蒲郡の象徴・竹島は周囲約680mの小島で、島全体の社叢が国の天然記念物に指定されている。対岸とは387mの竹島橋で結ばれ、渡るときにパートナーと中央を空けないようにすると幸せが続く、という言い伝えも残る 銀波荘 蒲郡観光ガイド。

竹島と竹島橋 三河湾に浮かぶ竹島。島の社叢は国の天然記念物 / 写真:花のみごろ.com

秋のもうひとつの楽しみが、西浦園地のツワブキ。夕陽のフォトスポットとして知られる場所だが、秋になると黄色い花が一面に絨毯のように広がる 銀波荘 蒲郡観光ガイド。紅葉の赤とは違う、海辺の秋の色だ。


5. 宿に戻って、三河湾の旬を食べる

日が落ちたら、西浦温泉の宿へ。旬景浪漫 銀波荘の料理は、三河湾という海がそのまま献立になったような宿だ。

プランクトンが豊富で味が深い魚が獲れる三河湾。朝獲れの地魚、身がプリッとした活きのいい鮑、自然の甘みがとろける最高級のアカザエビ。料理長みずからが厳選した食材を、持てる技の限りで仕上げる 銀波荘 お料理。要望を伝えれば、彩り豊かな舟盛りも用意される(予約時申告)。

伊勢海老の椀、造り、焼き魚が並ぶ会席 伊勢海老の椀を中心に、造り、焼き魚、重箱の小品が並ぶ / 写真:美食の特等席 うらら|お料理

鴨のローストやキャビア、ゼリー寄せの八寸 黒漆の盆に盛られた八寸。鴨、キャビアのテリーヌ、出汁のゼリー寄せ、いくら / 写真:美食の特等席 うらら|お料理

職人が握る寿司に、すだちを搾る その場で握る寿司に、すだちをひと搾り / 写真:銀波荘 お料理

食事処は3つ。専任の担当が客前で料理を振る舞う完全個室の空灯ダイニング うらら、オープンキッチンで焼きたてを供する旬景ダイニング 碧 -AO-、個室の料理茶寮 万華と四季を感じる和食ダイニング。いずれも「お食事場所はお任せ」となる 銀波荘 お料理。

鉄板の上で焼き上げる伊勢海老と和牛 碧 -AO- のカウンター。目の前で焼き上げる伊勢海老と和牛 / 写真:銀波荘 お料理

料理を締めるのは、総料理長・白井冶。厳選した「極みの食材」に技を尽くす、という一言に、この宿の姿勢が集約されている 銀波荘 お料理。


6. 食後の一杯は、元大浴場の喫茶で

食事のあと、あるいは翌朝に寄りたいのが温泉喫茶 si no no me。大浴場をリノベーションした空間で、タイル張りの壁と高い天井がそのまま残る。窓辺に足湯スペースがあり、湯に足を浸したまま海を眺められる 銀波荘 温泉喫茶 si no no me。

  • 営業時間:10:00〜17:00(L.O. 16:15)/定休日:毎週水曜日
  • 人気メニュー:si no no me CREAM SODA 950円、si no no me JELLY SODA 750円、CAFE LATTE 700円、ONE HAND WAFFLE 350円、自家製ビターキャラメルとナッツ 1,200円、フレッシュパクチーたっぷりのカレー 1,850円(ドリンク付き)
  • 場所:銀波荘内(蒲郡市西浦町大山25)

※夜は宿泊客専用の空間になる。


7. 最後は、湯に沈む

西浦温泉の湯は、平成10年に海岸から1.5km、地下1,200mで見つかった新しい湯脈。海岸地帯には珍しい塩分・カルシウムの少ないアルカリ性単純泉で、各種イオンを含む無色透明の湯。「美人の湯」として知られ、美白泉と名づけられた 銀波荘 温泉。

天游閣3階の大浴場は、女性が風澄乃湯、男性が光彩乃湯。どちらも三河湾を正面に見据えた露天をもち、6:00〜9:30、11:00〜24:00まで利用できる。サウナやジャグジーも備わる 銀波荘 温泉。

夕景に沈む露天ジャグジー 婦人大浴場 風澄乃湯。夕暮れ時、海と空の境目が溶けていく / 写真:銀波荘 温泉

さらに、最上階には2つの貸切露天風呂「月物語」「星物語」。宿泊は1人1,100円(税込)/50分、昼食利用は1人1,700円(税込)/50分。6:45〜7:50、10:30〜22:40の間で利用できる 銀波荘 温泉。一日走った体には、こちらがちょうどいい。


おわりに ― 秋は、海から山へ、そして湯へ

紅葉を追いかけて山へ上がり、海に戻って魚を食べ、最後に湯に沈む。蒲郡の秋は、この往復でできている。三ヶ根山の尾根で海を確認し、三谷の大師像で赤を見て、西浦の湯で一日を閉じる。移動は、たいした距離ではない。

紅葉の色は、年によって数日ずれる。だからこそ、予定を詰め込みすぎず、空の時間を残して来ていただきたい。尾根の上で、ちょっと車を停める。それだけのことに、この町は十分こたえてくれる。

蒲郡で、とっておきの秋の一日を。

旬景浪漫 銀波荘 〒443-0105 愛知県蒲郡市西浦町大山25 TEL:0533-57-1515(受付 9:00〜18:00)/ FAX:0533-57-1519 宿泊予約|日帰り予約|蒲郡観光ガイド

この記事の監修者

板倉 英之

旬景浪漫銀波荘 総支配人

宿泊サービス業界に長年携わり、2025年に旬景浪漫 銀波荘の総支配人に着任しました。これまでの現場経験を活かし、現在は館内運営全般を統括しています。
西浦温泉の泉質「美白泉」をはじめ、地域の温泉や観光の魅力にも精通しており、地域・行政・観光協会との連携にも携わっています。
「おもてなし」の心を第一に、宿泊するためだけの旅館ではなく、地域の皆様やお客様に何度でも足を運んでいただける**「通う旅館」**を目指しています。
こうした現場経験と地域に関する知識をもとに、銀波荘の施設・サービス・周辺観光情報など、記事内容の確認・監修を行っています。

内容は変更となる場合がございますので、最新情報は公式サイトまたはお電話(0533-57-1515)でご確認ください。|最終更新日:2026年10月26日